◆遅ればせながら、映画「フラガール」を見てきました。面白かった…!
あちらこちらから派手に鼻をすする音が聞こえてましたが、わたしもその一人。見に行ってよかったです。
きっとあちこちで語りつくされているでしょうが、炭鉱の町を舞台にした映画は名作揃いですよね。「フル・モンティ」、「ブラス!」、それにあの「リトル・ダンサー」…! どれも素晴らしくてホロリとさせられましたが、「フラガール」もそれらに引けを取らない作品に仕上がっていたと思います。

以下、映画の感想。なんとなくストーリーの予想がつく人であれば、ネタバレまではいかないと思います。

◆昭和40年の福島県いわき市が舞台。
スクリーンに映し出された町並みは、そこまで昔じゃないはずなのにあまりに古色蒼然としていて、しかも貧しくて、驚きました。
TVで目にする昭和40年ぐらいの映像というと、たいてい東京ですもんね。それに比べると… 炭鉱の暮らしはやはり厳しかったんだなぁと思います。
身体中真っ黒になりながら一生懸命働いて、身を寄せ合ってつましく生活する人々。そこに突如「ハワイアンセンター」を作るだの、女の子を「フラダンサー」にするだのという話が降って沸いたら、そりゃあびっくりしますよね。当然反対するに決まっています。

◆炭鉱に一生を捧げてきた人間としての意地、社員をどんどんクビにする会社への反発、「ダンサー」なんて訳の分からない職業への偏見。
あの時代の親たちは強いから、ダンサー志望の少女たちを腕ずくでも止めにかかります。
しかし、大人たちが強硬に反対するのも、単なる意地悪ではなく、家族を養いたい、娘を守りたいと必死だからなのが伝わってきます。
一方、少女たちは、そんな親の気持ちを痛感しながら、自分も家計を支えたいと思っているし、新しい人生を切り開きたい気持ちでいっぱいなのです。
わたしはこの年代のことを知らないけれど、日本中にこんな人々があふれていたんだろうなあと感じました。
夢をかなえようと頑張る少女たち、そして、その熱意に打たれて最後には応援してくれる大人たち。
お互いの思いが伝わってきて、素直に感動できるストーリーでした。

◆フラガールズのリーダー・蒼井優ちゃんは、野暮ったい服装と濃い訛り、素朴な女の子を自然に演じていました。そして、彼女が踊るフラダンスの美しいこと!クラシックバレエで鍛えただけあって、気品あふれる優雅な踊り。素晴らしかった!
先生役の松雪泰子さんは、久しぶりに見たけれどやはりお綺麗で、モノトーンの炭鉱町の中で一人だけ極彩色の流行ファッションで決めているのがとてもよく似合っていました。時折見せる生徒たちへの深い愛情も、涙もの。
他のフラガールズも、みんな笑顔が素敵で、一生懸命練習したのがよく伝わってきました。
ジェイク・シマブクロの音楽はハッピーで心地よく、ストーリーを盛り上げていました。ハワイアンはいいわ〜。

◆映画の中盤、先生がフラダンスの身振りの意味を教えてくれるシーンで涙が止まりませんでした。
わたしの家族にとってフラは特別なもので、それは、数年前に亡くなった叔母が大好きだったからなのです。
フラというだけで必然的に叔母のことを思い出して懐かしくなってしまって、ほろほろ来ている上に、「私は…」「あなたを…」「愛しています…」なんて言いながら踊られたら、もう無理。涙腺大崩壊ですよ。

この映画、うちのハハも公開直後に見に行って「良かったよ〜」と言ってましたが(そういえばこの人も先日習い始めました)、叔母にも見せてあげたかったです。きっと大喜びしたに違いありません。

フル・モンティ [Blu-ray]  ロバート・カーライルのダメ親父っぷりがチャーミングだった!ラストの、おっちゃんたちのストリップも、おかしいのになぜか涙が出てくる。

リトル・ダンサー [DVD]  ダンスって素敵だと心から思いました。自分の思うままに生きる主人公も、そのお友達も、素晴らしい。

ブラス! [DVD]  この3作品、そしてフラガールも、全部「音楽」なしでは成り立たないんですよね。音楽のない人生なんて、考えられない!!